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歯並びと食事: 2017年12月アーカイブ

こんにちは。歯科医師の信田です。GWは楽しく過ごされましたか?四月から新生活をされていた方は少し長めのお休みでほっと一息つかれたのではないでしょうか?

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さて今回は子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)へ生え変わる時の歯並びについてお話したいと思います。
 
皆さまは理想的な大人の歯(永久歯)の歯並びの状態はおわかりでしょうか?
 
①正面観(前から見た時)
・正中(上下の歯の真ん中)が一致している。
・上の歯が下の歯を2㎜ほど覆っている。
 
②咬合面観(かみ合わせの面を上と下から見た時)
・上下の歯列ともにUの字でアーチ状の形状になっている。
 
③側方面観(横から見た時)
・奥歯は、上下の歯が1歯対2歯で相互に噛み合っている。

子どもたちみんなが子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)へ生え変わる時に理想的な歯並びになれば良いのですがなかなかきれいに並ばないことも多いと思います。
ではどうして歯並びが悪くなってしまうのでしょうか?

歯並びが悪くなってしまう原因として
①顎の発育不足によるスペース不足⇒40%
②口腔習癖・体癖⇒40%
③遺伝的な問題や位置異常⇒20%
があります。
顎の発育不足は成長期に顎を拡大することでスペースを確保し、また口の周りの筋肉を正しく整えていくことできれいな歯並びへと導いていくことができます。
指しゃぶりや舌癖、口唇の巻き込み癖などの口腔習癖、口呼吸、頬杖や姿勢などの体癖などは見つけ次第取り除いていけるよう対応していく必要があります。
それでは子供の歯から大人の歯に変わっていく過程の中でどのようなところに注意して見ていけばよいかお伝えしたいと思います。
 
 
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ステージ1:乳歯列期(2~6歳頃)
・上下乳切歯が接触する。
 
・上の歯が下の歯を少し覆っている。
(反対咬合:下の歯が上の歯より前にある、過蓋咬合:上の歯に覆われて下の歯が見えない開咬:上の歯と下の歯がかみ合っていない⇒かみ合わせに問題があります)
 
・正中(上の歯と下の歯の真ん中)が一致する。
 
歯間空隙(すきっ歯)がある。
乳歯と乳歯の間に隙間(約4ミリ)がないと乳歯よりも大きい永久歯の生えてくるスペースは確実に足りないと言えます!
この時期から顎を広げたり、習癖を取り除いていく必要があります。
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ステージ2:第一大臼歯萌出期(5~7歳頃)
・E(第二乳臼歯)の後方に6(第一大臼歯)が萌出する。
 
・捻転がない。
永久歯の臼歯で最初に萌出してくるのが6(第一大臼歯)です。
6が近心傾斜し、前方のEにぶつかって萌出しなかったり、Eの歯根を吸収して萌出してくることもあります。エックス線写真を撮影して確認する必要があります。



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ステージ3:上下切歯交換期(6~9歳頃)
・上下切歯が接触する。
 
・上の歯が下の歯を少し覆っている。
 
・正中が一致する。
 
乳犬歯が残存する。
 
捻転や叢生がない。
この時期に正常な状態にしておかなければ、そのままの状態で永久歯列が完成してしまうことがほとんどです。最も大切な時期と言えます。つまりこの時期の正常像を目指すことが、将来の永久歯列が正常咬合になる近道となります。
 
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なぜならこのステージ3の後に交換期を迎える側方歯群では、それまで並んでいる乳歯(C、D、E)よりも新たに萌出してくる永久歯(3、4、5)のほうが歯冠幅径が小さいために、排列に余裕があるからです。この余裕は「リーウェイスペース」として知られています。そのため、それ以前の段階(つまりステージ3)で4前歯がきれいに排列していれば、その状態がそのまま維持されることが多いのです。
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ステージ4:側方歯交換期(9~12歳頃)
・前歯に叢生がない。
・リーウェイスペースが残っている。
・萌出遅延歯がない。
犬歯が萌出する時期に前歯が乱れていないかを見ていく必要があります。



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ステージ5:第二大臼歯萌出期(11~13歳頃)
・正中が一致する。
・捻転や叢生がない。
側方面観では鋏状咬合になっていないことも重要です!

お子様の歯並びの治療を進めていくうえで、どの時点で歯並びの異常に気付いてアプローチしていくのかもとても大切になってきます。
早い段階で治療を始めれば、短い期間で、費用もかからずにきれいな歯並びに導いていくことができます。
上下切歯のみの歯並び(ステージ3まで)の治療であれば比較的スムーズに治療は進んでいきますが、9歳頃の犬歯が生え変わる時期(ステージ4)になってくると装置の形も複雑になり時間も費用もかかってきてしまいます。
当院ではお子様の歯の生え変わりの時期、状態によってそれぞれに合った矯正治療のプランがあります。

・乳歯列期(永久歯が生えてくるまで:5~6歳)6歳までに治療
筋機能矯正装置(T4K)のみで終了できる可能性が高い。装置1個
筋機能矯正装置について⇒https://www.miki-dental.info/mrc.html

・永久歯前歯が上下合計8本以下(6~9歳)9歳までに治療
床矯正装置1~3個+筋機能矯正装置   装置2~4個
床矯正装置について⇒https://www.miki-dental.info/noextraction.html

・10歳~12歳
床矯正装置1~4個+ブラケット矯正上下顎+筋機能矯正装置
マルチブラケット矯正について⇒https://www.miki-dental.info/ortho.html

お母様は是非参考にしてお子様の歯並びを見てあげてくださいね。そしてお子様の歯並びが気になる方は矯正の無料相談を受けていただくことをおすすめいたします。
 
また当院では定期健診に通われているお子様に対して虫歯にならないようにだけではなく、歯並びに関してもサポートしていきたいと思っておりますので是非定期健診にもおこしくださいね。

歯科医師 信田麻耶
 
↓↓↓こちらのブログも、ぜひお読みになってください。

早期矯正治療の必要性について ~床矯正治療から八重歯矯正~

https://www.miki-dental.info/miki-dental-staff-voice/2017/01/post-1040.html


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新年あけましておめでとうございます。
歯科医師の信田です。
 
さて今回私は『子どもの口腔機能を育てる』ことについてお話したいと思います。
近年、子どもたちの「お口がぽかん」や「食べることが下手」、「歯並びが悪い」という問題がよく話題にされています。
保護者の方たちの興味や意識も、子どもたちのう蝕の問題から、お口の機能のほうに変わってきているように思われます。
口腔機能は全身とともに発達していくので、口腔のみならず全身にも目をむけてアプローチしていく必要があります。

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口腔機能は
1食べること(摂食、嚥下)
2話すこと(発音、言語)
3呼吸すること
これらの活動に大きく関わっています。これらは生命維持において非常に重要ですし、顎や顔面を含めた歯列の正常な発育に大きく影響をしています。
 
食べたり話したりするにはそれぞれの活動に合わせて、息を「吸う」「止める」「吐く」といった動作の切り替え、呼吸のコントロールが必要です。この呼吸のコントロールは口唇や舌、軟口蓋が強調して行っています。口唇を閉じる、舌運動(前後・上下・左右)、軟口蓋挙上する動きは、全身の運動機能とともに発達していきます。
 
生後まもない赤ちゃんは固形食を食べることができず、母乳やミルクなどの液体を飲むしかできません。
固形食を食べるには頚部の安定や体幹の安定が必要になり、それらは赤ちゃんが生後体を動かすことにより獲得していきます。
このように口腔機能は全身の運動機能と相互に影響しあうので、全身の発達も考えていかなくてはなりません。
全身の運動機能の土台となるのは食・呼吸・姿勢になります。
 
 
 

 
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1食育(食)
2息育(呼吸)
3足育(姿勢)
この3つは子供たちの口腔機能及び口腔そのものを育てることにおいて、とても重要となってきます。

1食育
赤ちゃんが食べることを練習する材料が離乳食になります。
離乳食の形態や量は月齢に左右されるのではなく、口の機能や歯の生え方に合わせて調整することが大切です。身体の発達と舌の前後運動、舌の上下運動、舌の左右運動のステップに応じて離乳食を与えていきましょう。
食事の際は、両足がしっかりとつくタイプのチェアに座らせることで、上半身が安定するようなります。腰がすわり安定した状態で手づかみ食べをさせていきましょう。
赤ちゃんは手づかみ食べをし、食材を前歯でかじり取ることで、一口の量を覚えていきます。
またこの時期は子供たちの食べたいという意欲を育てていくことも大切です。お腹がすく環境づくりも必要となってきます。
起床と就寝、お昼寝時間が不規則になっていないか、授乳や甘未飲料摂取で満腹になっていないか、おやつの内容や与え方、戸外での遊びなどの運動量なども確認する必要があります。
 
 
 
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2息育(呼吸)
本来人間は鼻呼吸がしやすいようにできています。正しい呼吸を行うためには、口が正しい姿勢の状態になっていないといけません。
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口を閉じたときに、舌がスポットの位置にあるでしょうか?
 
習慣的に口呼吸を行う子供たちは、舌の位置が低く、食べ物をごっくんと嚥下するときに舌を口蓋(上顎のへこんだ部分)に押し当てて舌圧を生じることができません。
そのために上顎の側方の成長が少なくなります。お口の中の容積が狭くなってしまうと、舌が十分に動かすことができずに正しい食行動や発音を行うことができません。
 
正しい呼吸(鼻呼吸)を行うことは、顎顔面を正常に発達していくうえでもとても大切です。
 
 
 
 
3足育(姿勢)
呼吸は姿勢と深く関係しています。鼻呼吸がしやすいように口を閉じていられる姿勢が歯科では「正しい姿勢」「良い姿勢」となります。
 
赤ちゃんは離乳食が進むにつれて体の軸が整い、自ら口唇を閉じる力をつけていきます。
 
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赤ちゃんの体の軸がまっすぐ整うように、また頭部が後屈して口唇が開かないような抱き方や寝かせ方の工夫が必要です。
哺乳時、おんぶ・抱っこ時には、足も手もお母さんの体に密着しまとめるように支えられている姿勢が大切です。
 
また足底をしっかりと地面につく姿勢をとると正しい呼吸がしやすくなります。
立つ時に足指を使えていなかったり、足指に変形があると重心が踵側に後退して口が開きやすい姿勢になってしまいます。
 
人間が立って歩くことができるのは抗重力筋の働きがあるからです。この筋肉は、ハイハイ、自座位、つかまり立ち、歩行の成長過程で体幹が鍛えられていくとともに発達していくので、しっかりと成長のステップを踏んでいくことも大切です。
 
腰がすわる前、すなわち体の軸が安定する前に腰を支えるタイプのチェア(バンボタイプ)のベビーチェアを使用すると自座位と歩行のための発達を阻害し、脊椎の歪みにつながります。
 
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座ったときは足裏を膝の下またはそれより後方に置くと、重心が足指側になり、自然と骨盤が起き上がり正しい呼吸がしやすくなります。
妊娠中も椅子に座るときは、深く腰掛けず足首に体重が乗るようにします。そうすることで猫背にならない楽な姿勢が保つことができます。
 
 
口腔機能の発達は、全身の運動機能の発達と密接に関係しています。
全身の運動機能の土台となる食・呼吸・姿勢を妊娠期から正しくサポートすることが大切になってきます。
 

当院では妊婦さんや小さいお子様の食育指導をはじめ、歯育て講座、姿勢のトレーニングも行っております。(25分 3000+税)

 

お子様の正しい口腔機能及び口腔そのものを育てていくためにも全身にも目を向けてサポートしていきたいと考えております。

 

 

歯科医師 信田麻耶
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